ベーシックインカムは、AIを推進する上でマストだと思う。
ベーシックインカムが注目されている。
ベーシックインカムとは、「生存しているだけで現金を受給できる富の再分配システム」です。 貧困対策ではない。給付条件はなく誰でももらえます。生活に必要な最低限度額のみで、別に、働いて稼ぐのは自由です。
フィンランドで、2017年1月1日から2年間にわたって2000人の失業者を対象に毎月560ユーロ(約6万8000円)を無償で支給するというプログラムが行われました。
ヨーロッパ諸国は GDPの三分の一を社会保障費に充てていて、失業者向けの社会保障制度が大変複雑です。受給条件も年々厳しくなっています。支給の条件がないとなると、社会保障制度がシンプルになり、行政上のコストを削減できます。
もう一つ、低収入の仕事では生活ができないので、就職せず失業手当をもらう人が多いという実情があります。ベーシックインカムが無条件に支給されれば、生活に見通しが立ち、仕事に就く人が増えると言われています。
企業にとっても雇用調整が容易になり、売上も上がります。国のGDPも上がります。
しかし、ベーシックインカムが注目されている最大の理由が、AIの進化です。
現状の仕組みでは、AIやロボットを所有する経営者や企業だけが利益を上げ、一方でAIやロボットで仕事を失う人が増えることで、所得格差が一気に増大していくといった懸念があります。
ベーシックインカムは行き過ぎた資本主義の修正という一面だけでなく、人間の「仕事」を再定義する制度としても大きな注目を集めている。
しかし、平均所得の15%のベーシックインカムは、国民所得の15%の税収を必要とします。この財源をどのように確保するか、実現への道はかなり険しい。
対策の一つとして、「ロボット税」といった制度も言われている。
AIやロボットに置き換えて収入を得たら、それに応じた税金を支払うという制度です。欧米では議論が始まっています。米マイクロソフトのビル・ゲイツ氏なども賛同しています。
ただしこの「ロボット税」も、特定の国だけが導入した場合、その国の企業が競争力を失ってしまうので、欧州全体、政界レベルで同時に導入するような約束作りが必要であるという、大きな問題が待ち受けています。