画家モリゾ、マネの描いた美女 名画に隠された秘密(2013年)
映画「画家モリゾ、マネの描いた美女 名画に隠された秘密(2013年)」を見ました。
ベルト・モリゾが、1865年のサロンでエドゥアール・マネの「オリンピア」を目にする1868年の場面から始まります。
次にルーヴル美術館で名画を模写していたときに、 ラトゥールからエドゥアール・マネを紹介されます。
マネはモリゾに好意を持ち、有名な「バルコニー」で初めてモリゾを描いたり、モリゾに「重ね塗りはするな。屋外で書かないのか?若い友人の絵を見て、水面の輝きに目がくらんだ。」と教えるなど、いろいろな場面が登場します。マネとモリゾの深い関係がテーマになっていることがわかります。
映画の中では「バルコニー」以外にも、「笛吹く少年」「草上の朝食」「オランピア」など マネの作品がたくさん出てきます。
ベルト・モリゾが生きた19世紀は、30歳を超えた女性が画家を目指すことなど当時はタブーだった
当時の時代背景についても「結婚が女性のすべて」といった、19世紀のフランス女性の社会的制約が根強かったことがわかります。
男性の印象派画家の多くは、カフェにたむろして社会、政治、芸術などを議論したり、街に出て絵を描いていました。 彼女の絵が住まいがあったパリ16区の緑豊かな田園風景や、身近な家族の日常生活を描いている理由も、「女性、特に上流階級の女性はやたらに外には出ない」といった慣習のためでした。
映画の後半はフランスがプロイセンに大敗を喫した「普仏戦争」(1870年から約10か月)が時代背景となります。
最後は、マネがサロンに固執し、印象派展に参加する意思がないことをモリゾに伝えます。「サロンでメダルも得たし、私は正当な道を進む。印象派は少数派に過ぎない。アカデミーに認められたい。」と。そして、モリゾがマネからの贈られた絵画を手に取り、感慨深げに椅子に座る場面で終わります。1874年のことだと思います。
この映画は賛否両論だと思いますが、私には「この映画は二人の純愛に過ぎない」ように感じました。モリゾの画業が本格化するのは、この1874年以降です。
ベルト・モリゾがこの後どのように生きたのか、画家としてもどのように成長して行ったのか、そして54年の短い人生を全うして行ったのか、是非映画化して欲しいと思っています。