ヴェルサイユ宮殿①‐フランス絶対王政の象徴 広大な庭園は革命前、なんとパリ市総面積と同じだった
豪華絢爛な宮殿はバロック建築の代表作、また広大な庭園はフランス式庭園の最高傑作と言われています。
ヴェルサイユ宮殿は、ルイ14世が1661年から数十年の歳月をかけ造営した宮殿であり、1682年から1789年まで約100年の間、フランス絶対王政の中心となりました。
現在、観光客入場者数はフランス国内第3位。なお、7位まですべてパリ近郊で占められています。
― 2017年入場者の集計 ―
- ディズニーランド・パリ 1,486万人
- ルーヴル美術館 800万人
- ヴェルサイユ宮殿 770万人
- エッフェル塔 620万人
- ポンピドゥーセンター 333万人
- オルセー美術館 317万人
- 科学博物館 244万人
「訪れる人が多い世界の宮殿や城ランキング10選」では第4位にランクインしています。有名どころです。
- 紫禁城(中国)
- ルーブル宮殿(フランス)
- グランドパレス(タイ)
- ヴェルサイユ宮殿(フランス)
- トプカプ宮殿(トルコ)
- 冬の宮殿(ロシア)
- ロンドン塔(イギリス)
- シェーンブルン宮殿(オーストリア)
- ヘネラリフェ(スペイン)
- 首里城(日本)
革命前の庭園の広さは、なんと現在のパリ市の総面積に匹敵する!!
ルイ14世の号令「有史以来、最も大きく、最も豪華な宮殿を!」
噴水は200個、運河の全長は35キロメートル、部屋数は700個..、 現在の全敷地面積は800ヘクタール、壮大なスケールを感じずにはおれません。
東京ドーム (4.7ヘクタール)の170個分です。
しかし、革命前にはその10倍、7,800ヘクタールの広さを誇り、なんと現在のパリ市の総面積に匹敵しました。
東京ディズニーランドとディズニーシーを合わせても100ヘクタール、革命前はなんとその80倍でした。
水なき地に常に水を噴き上げる噴水庭園を造った!!
近くには高地がなく、水を引くことはできません。
そこで、宮殿建設の25,000人に対し、噴水庭園作りには36,000人もの人員を投入します。
1675年から7年の歳月をかけて、10km離れたセーヌ川の川岸に巨大な揚水装置を設置し、高さ150mの丘を越えて水を運び、巨大な貯水槽に溜め込むことに成功します。 こうして常に水を噴き上げる噴水庭園を完成させています。
ルイ14世の「自然をも変える力を示し、民衆の心を掴みむ」という並々ならぬ思いが感じられます。
同じようなスケールを感じたのは、北京にある世界遺産、名園「頤和園」の人工の湖「昆明湖(こんめいこ)」です。
「頤和園」は、清朝第6代皇帝の乾隆帝(けんりゅうてい)が、母親の還暦を祝って造営したというものです。敷地面積はなんと約290万平方m、東京ドーム約62個分と、これまた広大なものです。なかでもビックリしたのは昆明湖という人工湖です。敷地全体の4分の3ということなので、210万㎡以上あります。人の力だけで東京ドーム45個分の湖を作った?というものです。
ヴェルサイユ宮殿の大まかな歴史
1624年 ルイ13世が、この地に狩りを行う際の滞在場所として「狩猟の館」なるものを建設
1661年-65年 ルイ14世が宮殿を増築
1667年-70年 フランス式庭園の様式を完成させたル・ノートルによって造園
1672年 離宮 「グランド・トリアノン」完成
(その後1688年に大理石で建て直し。ルイ14世の命で、離宮的な意味合いで建築され、公妾であったフランソワーズ・アテナイスの隠れ家として使われた。また、後に、皇帝ナポレオンが別荘として使っていました。)
1678年 「鏡の間」を作る(天井画はル・ブラン)
1675年-82年 セーヌ川にダムを築き噴水工事。。。ここでほぼ全体が完成
― さらに増築が続きます ―
1710年 「礼拝堂」完成。ルイ16世とマリー・アントワネットの華やかな結婚式結婚式が行われました。
1770年 「オペラ劇場」完成。仮面舞踏会など、さまざまな祝宴に利用されました。
「鏡の間」はドイツとの間で、屈辱と雪辱の場となります。
普仏戦争ではドイツに惨敗し、1871年1月8日にこの「鏡の間」で、ドイツ皇帝ヴィルヘルム1世の即位式(戴冠式)が行われました。フランスにとっては、自国の宮殿で敵国の戴冠式を行うという、最大の屈辱を受けます。
しかし、その半世紀後の1919年、ドイツが第一次世界大戦で敗れます。1871年の屈辱を晴らすかのように、パリ講和会議を「鏡の間」で執り行い、対独・ヴェルサイユ条約と対ハンガリー・トリアノン条約を締結しました。
フランスとドイツは、ここでは痛み分けですね。
ヴェルサイユ宮殿へのアプローチはいい、そして断然バスがいい
パリからヴェルサイユ宮殿へは、20キロメートル、30分圏内と、電車でもバスでも簡単に行くことができます。ミュージアムパスも使え、比較的アクセスしやすいスポットです。
しかしフランス3位の人気スポットです。大勢の人が押し寄せます。また、近年、セキュリティ・チェックがだいぶ強化されたので、入場までかなり時間がかかるようになっています。2012年の当時は、正門到着からわずか5分で入場できましたが、3年後の2015年は2時間もかかっています。
電車とバス、両方試しましたが、バスをお勧めします。
バスなら、終点のバス停で降りて、わずか550m、7分です。費用も往復約3€と安い。乗車するバス停のある駅まで、パリの中心から30分程度かかります。でも乗り換えは簡単ですし、下車したらすぐヴェルサイユ宮殿の正門が見えます。やっぱり、ずっといいと思います。
私たちが行った時は、急遽途中のバス停で降ろされて、別のバスに乗り換えることになりましたが。。。こんなことはよくあることですから。
一方、鉄道を使う場合は行き方はいろいろあります。どれも1時間ちょっと、料金は往復7.37€です。
到着駅 | Versailles chateau Rive Gauche | Versailles chantiers | Versailles Rive Doroite |
宮殿まで | 950m 13分 | 1.6km 21分 | 1.6km 21分 |
パリ乗車駅 | Gare Austerlita、Gare Saint-Michel Gare Champ de Mars-Tour Eiffelなど、40分~90分 | Gare Montparnasse 40分 | Gare Saint-Lazare 35分 |